ラブホ行こーか。
なんて学校の帰り道で言う話じゃないと思うんだけど、城之内くん。
「お金どーすんのさ、城之内くん」
「給料日後だもーん」
昼間なら安いからさーって、本田くん家のブランキーがおねだりするみたいな目で見られても。くーんて甘えた声が聞こえてきそうだ。視線が合わないふりをしたら、かがみ込まれてちょっと色の薄い茶色の瞳で、じっと見つめてくる。
ああ、もうかわいいなぁ。そーゆーのは卑怯だぜ。
「制服着たまま行くの無理!」
「んじゃ、着替えてから行こう」
「着替えたって無理!」
くやしいけどボクはチビでガキっぽい。小学生にまちがえられたこともある。
前に、獏良くんと一緒におっきな家電販売店にエロゲーを買いに行ったんだけど、成人指定のエリアに入ろうとした途端、店員さんにこっちは違いますよって、にっこり笑われて、ディズニーDVDのコーナーまで連れていかれたこともある。
ラブホテルなんて入ろうとしたら、引き止められるに決まってるんだけど。
「大丈夫だよ、最近は家族で泊まるひともいるらしーぜ」
そんなこと言われたってさ。
「興味ないわけ?」
「あるよ」
ボクに性欲がないとでも?
なかったら、あんなことやこんなことをしていないよ、城之内くん。
「いいぞーラブホは、クーラーあるしゲーム機あるし風呂広いしベッド広いしジャグジーだし」
「ふーん」
誰と行ったのかなー。
じろりと城之内くんを見てやると、「あの、それは、つまりさ」と、ばたばたと両手を振ってあわてはじめた。いいけどね。もう。ボクは過去を気にするような男じゃないぜ。
「ラブホ代おごるからさ!」
そんな無駄使いしてる場合じゃないだろ。
「だったらゴム買いなよ! いつもいつも生だしさ!」
ついでに、顔射ぶっかけやってみたーいって、おねだりするのも止めてほしい。
「いいじゃん妊娠するわけじゃなし」
デリカシーのない。
「その言葉、そっくりそのまま城之内くんの身体で教えてあげてもいいんだぜ」
え、それ無理だろって、キミはボクが男だってこと忘れてるだろ。
そういうとこ好きじゃないなって思うのに、好きなんだよな。
エロ戦車で、毎日のようにやることばっかり考えてて、生が大好きで、ボクの身体のこと考えないでセックスするくせに、好きなのだ。
「ボクの家まで、おんぶしてくれたら考えてもいいぜー」
「おんぶ? いいけど」
んなもんカンタンだぜ。ほら、乗れよってみせる背中は、けっこう広い。
軽々と担がれるとちょっと悔しい。
うれしそうに鼻歌なんて歌っちゃってさ。
このあとのこと考えてるんだろうなぁ。
好きだからキライだ。
キライだけど好きだ。
ぼさぼさの髪の毛をかるくひっぱって、後ろを向かせた。
こんな住宅街の路地裏で、君にキスなんてしちゃうぐらい。
大好きだ。
君からキスをしてくれたら、続きをしてもいい。
ボクの部屋でどうでしょう。
バカップル。
ちょっと下品です。
やってないけどリバ気味な発言有り。