「ちょ、や、やだって、くすぐったいって」
たしかに足の裏はくすぐったいだろうな。
「そんなとこに必要ないって! やめてよ!」
しかし、オレには必要あんだよ。
くるぶし。
ふくらはぎ。
ひざのうらっかわ。
むっちりした太腿をすーっとパフで撫でてやると、遊戯はびくんと震えた。
舌でねっちり舐めてやるときみたいな、震え方だった。
オレはニヤリと笑った。
やべぇなぁ。すげぇだらしねぇ顔してる自覚あるぜ。
鏡を見たらきっと鼻の下は伸びきってるだろう。
でも、遊戯にはオレの表情は見えないし。
太腿の付け根から、まるい尻の上を白く掃いた。
ぐいっとひらいて、内側のところも丁寧になぞる。
「そんなとこまでするなよ、城之内くん!」
冗談じゃねぇよ、全部するに決まってんだろ。
遊戯は半身をひねって、オレをにらみ付けた。顔はゆであがったように赤い。
湯上がりのせいなのか、恥ずかしいのか、怒ってるせいなのか。どれにしても、その顔はかわいい。どんなに凄まれてもかわいい。
たまんない。
丁寧に白いパウダーをはたいた尻のまるみが、白桃そっくりでうまそうだった。
さわったら指のあとがついてしまいそうだ。
かぶりつきたい。
喰っちまいたい。
なんでかな。やりたいっていうより、マジで喰いたい。
いや本気でやったら猟奇だし、そういう趣味はないけどさ。怖いし。
でも、すげぇうまそうなんだよな。
舐めて、味わって、歯をたてて、跡をつけて、どうにかしてしまいたい。
あれかな。これは相手のことを、自分のモノにしたいってことなのかな。
突っ込みたいってのも、同じなのかな。
入れると、気持ちいいけど。
気持ちいいの好きだけど。
それだけじゃない気がする。
「遊戯」
なんだよ、と言わんばかりににらみつけてくる。でっかい目はとろりと潤んでいた。
目のふちのところが赤い。感じてるからかな、怒ってるからかな。
半勃ちになってるから、感じてはいるんだろうけど。
顔を近付けて、噛みつくみたいにキスをした。
「おまえって、キスはいやがらないよな」
「普通にしてくれてたら、別にいやがらないよ」
もっぺん、キスした。
上あごの固いところを舐め回したら、遊戯は、色っぽい声をだした。
「いつもオレ、ふつうじゃん」
「普通じゃないよ、こんなの」
「そうかな」
「パウダーはたいてるだけで、何がたのしいんだよ」
「楽しいけど、すげぇ」
そうささやいて、またキスをした。
下の奥歯のとことか、歯茎のとことか、何度もなぞってやる。口の中をれろれろかき回してると、遊戯の熱とオレの熱がからまる。薄い口のなかの皮膚がとけて、一緒くたになってしまうような気がする。
もっと熔けるといいのに。
思いっきり舌を吸いあげる。舌の感触ははとろけそうほど柔らかいのに、歯でそっと噛むと弾力がって、不思議な気持ちになる。
遊戯から、鼻に掛かったあまい声がもれる。
欲情しきってうるんだ身体、そのまんまの声だ。
「欲しいんだろ」
「え?」
「そんなに早くやりたいわけ?」
キスをしながら、そう言ってやったら、遊戯の眉がぴくりとうごいた。
――やべぇ。殺気。
あわてて離れると同時に、がちんと目の前で遊戯の歯が音をたてた。
舌を噛まれる寸前だった。
ちぇって、舌打ちすんなよ。怖いから。
「あのね、ボクだって怒るときは怒るよ」
「なんでよ」
気持ちいいだろ。やらしいことしたり、やらしいこと言うの。
そういうの好きだろ?
お前だって、勃起してんじゃん。
だいたい好きな相手じゃなかったら見たくねぇぞ、裸も、あそこも。
なんでオレがしたいのかわかってんのかよ。
お前だからしたいんじゃねぇか。
自分だって、気持ちいいの好きなくせに。
ずりぃよ、オレばっかり。
オレばっか欲情してるなんて、ずりぃ。
遊戯を仰向けに押したおす。黒革のベルトで拘束した両腕を上にあげさせて、たっぷりパフにつけたパウダーで、胸をそっと撫でる。
「ん!」
遊戯がまたびくんと震える。何かこらえてるみたいな、こもった声。
うっすい胸に、ピンク色の乳首がぽっちりと尖っていた。
丁寧に、その部分をはたいてやる。
やわらかなパフでくすぐるたびに、遊戯は身をよじった。
「気持ちいい?」
遊戯は口をきゅっとひき結んで声を抑えている。
そういう風に声を出さないでいるほうが、ずっと感じてるように見えるんだけど。
感じてるんだろ、やっぱり。
たずねてみても、遊戯は声を出さない。
お前のその表情、すげぇ、やらしいと思うんだけど。
見てるだけで、どうにかなりそうなんだけど。
こうやって煽られてると、オレばっかりが好きな気がする。
もっとオレで、興奮しろよ。
胸をなんども丸くなぜたあと、ちっちゃいヘソを回りをくるっとはたいた。そのままゆっくり焦らすようにやわらかな腹を通り、立ち上がった遊戯のソレにたどり着く。
遊戯のアレは、オレとご同様に、固くそりかえっていた。
「ちょ、ちょっと城之内くん、どこやってんだよ!」
「遊戯の一番感じるところ」
「って、汚いだろ。どうすんだよ、それ」
「遊戯が汚さなければいいだけだろ?」
「!」
遊戯は膝頭をたてて、手を届かないようにするけど、そんなのワケない。
足をぐいっと広げて割ってやる。両足のくるぶしのところは、ベルトで縛ったままだから、ちょうど菱形みたいになった。変形M字開脚みたいだ。いやらしい格好だよなぁ。
根元のまわりをパフでなぞると、遊戯がびくんと背中をそらした。先端からは、もうとろとろと汁があふれてきている。感じやすい部分をそっとかすめるように撫でる。
「城之内くん……」
ねだるような声。
媚びた声だ。
キツイよな。
さわって欲しいよな。
思いっきり擦ってほしいよな。
何もしてないオレだってジャージの中で、はち切れそうになっている。お泊まり用のあたらしいパンツにはずかしい染みができてるのにちがいない。ガシガシ擦って、はやくお前に突っ込みたい。
けど、我慢する。
我慢したほうが、ずっと気持ちいいって、知ってしまったから。
ウラの筋をすーっと撫でてやったあと、袋のとこもやわらかいパフでなぞる。
そんなに、恨みがましい目で見るなよ。
「してほしい?」
「べつに……」
遊戯は、我慢してる。
オレも、我慢する。
本当は一刻も早くぶっこみたいのに、ふーっと遊戯のアレに息をふきかけてみたり、パフが液体で汚れないように、腹や股関節や太ももだけをなぞったりしてみる。
だんだん頭がおかしくなってくる。ベビーパウダーでうっすらと白くなった遊戯は、マジでうまそうで、ああ、やべぇ。我慢したいのに、しきれそうにない。
オレは遊戯の胸にかぶりついた。小さいピンク色の乳首は、ふわっとパウダーがかかっていて、まるであれみたいだった。ほら、ケーキの上にふりかける粉砂糖。パウダーなんだから味がするわけもないのに、脳みそが甘さで痺れた。ショートケーキ(ここしばらく食ってない)の上のイチゴを食うみたいに、乳首を噛んだ。何度も甘噛みして、きゅっとひっぱる。
「あぁっ!」
遊戯が、あまったるい悲鳴をあげた。
ああ、もうダメだ。オレのあたまはおかしい。
反対側の乳首にも吸い付いて、赤ん坊みたいにちゅうちゅう吸ってやる。そのたびに遊戯は戒められた不自由な身体で、ぶるぶる震える。ああ、やべぇ。たまんねぇ。なんでこんなに触ったり、撫でたり、揉んだり、吸ったりしてんだけで、頭がヘンになるんだろう。
もっとしたい。もっと遊戯を味わいたい。
いつの間にかパフはどこかに行っていた。
遊戯の足に手を伸ばし、アレをきゅっと握ってやる。遊戯の喉がひくんとうごいた。大きな目から、ぽろりと涙がこぼれた。大粒のそれを啜りながら、きしきしと遊戯のモノを擦りあげる。手の中のものは火傷しそうなほど熱かった。どろどろに溢れた液体で、手をすべらせる。何度かきつくしごいているうちに、遊戯の身体はびくびくと痙攣しはじめた。背をそらし、熱い吐息だけがもれる。
「出せよ」
そう言うと、こらえきれずに遊戯は、オレの手の中で射精した。
遊戯は自分の右腕を噛んで、声を押し殺している。
「歯形ついちまうぞ」
赤く染まった頬に、自分の頬をすりつけた。開いてる方の手で、あごをひっつかんでキスをした。白いふっくらした二の腕に、くっきりと赤い歯形がついていて、オレはそれに欲情した。
また舌を絡めながら、遊戯が吐き出したどろどろの白い液体を、奥のところに塗りつける。濡れた指で、ていねいに入り口をなぞる。指の腹で、遊戯のそこがヒクヒクうごいてるのを感じた。ここでオレが欲しいんだ。そう思うと、腹の底がやけつくような誇らしさと喜びと、それから腰の奥にずんとくる欲望をつよく感じた。
指のさきをめり込ませる。
それほど抵抗なく、中に飲み込まれていく。
遊戯のそこはすごく熱くて、指が熱で溶けそうだとおもった。熱くて、きゅっと締め付けてきて、指が気持ちよかった。やわらかな遊戯の中を堪能するように動かす。そこを何度かさぐってやると、どこかをかすめた瞬間、遊戯がスイッチを入れたみたいにものすごい反応をしめした。
「ここか?」
遊戯は涙目になりながら、首を横にふった。
オレは、さっきかすめた部分らしいところを何度も弄った。遊戯の反応をみながら、調べていく。手間取ったけど、そんなに奥じゃないところ、腹の方にこりこりしたものを感じた。そっとその部分を弄ると、遊戯は悲鳴みたいな声をあげた。さっきみたいにぶるっと震えていた。
へぇ。ここなんだ。
これまであんまり丁寧に弄ったことなかったから、わかんなかった。
ちくちくと指で刺激すると、遊戯はもうたまんなくなったようで、首を左右にふりながら城之内くん、城之内くんって、すげぇ甘い声でオレを呼ぶ。どんだけやらしい声か、わかんないと思う。それを聞いたとたん、オレのが欲しいの?とか、突っ込んで欲しいって言って、なんてイヤラシイことおねだりさせようと考えてたのが、全部ふっとんじまったから。ああもう、名前呼ぶだけで、やらしいなんて。おかしいぜ。
オレはジャージをパンツごと引きずりおろした。遊戯の縛り上げてある足を上にもちあげて、挿入する。ずるりとオレのものが遊戯の中に入っていく。
もう、どうにかなりそうなぐらい熱くて気持ちいい。
オレのほうが、おかしくなる。
馬鹿みたいに腰をふりながら、遊戯、遊戯って叫んだ。
さっき見つけたいいところをオレのアレでいじってやろうなんて考えはどっかにふっとんでいた。もうただ熱くて、ぎゅっとしてて、気持ちいい。全部とけてしまいたい。オレはあっという間に遊戯の中に射精した。それでも硬度はおさまらなくって、まだオレは動いていた。城之内くんって甘い声が耳から離れない。
つながったまま、遊戯をひっくりかえした。抱きかかえなおして、座位の形をとると、オレのものが根元まで入っていった。その感触に遊戯が喘いだ。いやらしい濡れた音をひびかせながら、遊戯を突き上げる。
その時だった。
コンコンという小気味のよいノックの音が響いたのは。
「遊戯、まだ起きてるの?」
ママさんの声がした。